コの字型に囲われた坪庭。
建替えの2世帯新築で、親世帯と子世帯とのニュートラルな空間。先祖代々受け継がれた、手水鉢や灯篭を再利用し、マキやワビスケの庭木も再移植しました。ベニシダやヤブソテツ、ヤブコウジ、スギゴケのどの下草を多用し、新築のお庭ながら、昔からそこにあるような、お庭としました。花が首元から落ちることから忌み嫌われることもある侘助椿(ワビスケツバキ)。その花は一重の猪口(ちょく)咲きの小輪。儚くも可憐なそののたたずまいは、侘びの世界観をかもしだし、利休をはじめ茶人に好まれました。苔の濃緑の上に落ちた侘助の花。無常観漂う、浮世から離れた静寂が広がります。