1.濡れ縁。その名の通り、雨ざらしの縁側。木材の腐食を防ぐため、床板との隙間を開けて水切れをよくしてある。板幅の広いウッドデッキと比べて、水はけが良く腐りにくく、また、細格子は繊細な印象。蚊やり豚で線香を焚いて、濡れ縁に腰かければ、夏の風情を感じることができます。 2.和室からの景色。室内の広縁から、屋外の濡れ縁に繋がり、庭へと連動していく。広縁はとは、和室に奥行をもたらし、外からの日射を防いで畳や建具の日焼けを防ぐ目的も。屋外と室内を繋ぐ、濡れ縁と広縁。庭の景色を室内に取り込む、先人の建築の知恵です。
3.庭の全景。竹垣を背景に造園。竹垣は建仁寺垣。京都建仁寺で初めて用いられたデザインの竹垣で、四つ割竹を垂直方向に組み合わせたもの。色の抜けた古竹の垣は、情緒深い景色になります。主木はイロハモミジ。直径30㎝ぐらいある太い幹は存在感があり、庭に風格をもたらします。 4.鈍色の飛石とゴロタ石。大きめのゴロタ石を敷き詰めて動きをつけてます。 5.イロハモジの葉と、筧。筧とは、もともと山間の民家などで、岩間の湧泉の水を引くために行われた方法で、その景趣を取り入れて、手水鉢への給水現としたのが、筧と呼ばれる構成要素です。白い釉薬の磁器鉢が、庭で一際目立つようにようにし、モノトーンで現代的な要素も取り入れました。
また水琴窟の仕掛けも施しました。水琴窟とは、日本庭園の装飾のひとつ。手水鉢の地下に素焼きの甕を仕組み、水滴が甕の中水盆に落下する際、甕の中で反響して琴のような音色が聞こえる仕掛け。甲高く響く水の音は、涼を感じることができます。昔より伝わる美意識の結集した造園技法です。